京都SJCD 第1回例会活動報告~京都SJCDの活動報告~

2017/04/10

前日のステッップアップミーティングは浜田先生による補綴物の無調整をめざそう、というタイトルで、印象材や石膏など、毎日使っている材料について、基本的な物性のことや扱い方などとてもよい復習になりました。印象材の特性、トレーの形状、印象の撤去方向、印象材の歪みを可及的に小さくする工夫、石膏の練和に用いる機材から模型作成まで、非常に細かいことの積み重ねですが、調整の必要ない修復物をつくるための良い学びになりました。

 

日曜日には今期1回目の例会ということで、午前中は会員発表、午後は講演会を行いました。

午前中の会員発表は秋田先生の全顎的に補綴物が入っている患者のプロビジョナルの咬合接触関係に対する考察ということで、発表されました。犬歯関係が右側1級、左側2級と左右差がある中安定した臼歯の咬合関係を得るためにプロビジョナルレストレーションの形態をとても工夫され検証されていました。また最終補綴物が入った後の経過報告も行って欲しいものです。尾上先生の前歯インプラント成功の条件 位置、深度、角度、形態の4つの視点から歯肉の経過をみながら考察していました。位置については元の天然歯のあった位置よりも口蓋側、深さは最終的に想定される歯肉縁から4mm下方、角度はスクリューリテインができる程度の傾斜、補綴形態、特にプラットフォームから歯肉縁の立ち上がりまでの部分は歯肉のクリーピングを阻害しないような緩やかな曲面を、実際の臨床経過をもとに検証しておりとても参考になるものでした。

午後からは貞光先生に「日本人に適応した審美修復」というテーマでのご講演。このたび医歯薬出版から”日本人に適した審美修復治療の理論と実践”という本を出され、その内容をまとめてお話ししていただきました。日本人の歯の菲薄性にあわせ、従来の支台歯形成を日本人にあったものに再考するという考察は、大変興味深いものでした。先生は、学術的指針として日本人の平均的な歯冠長と幅径から最終補綴の設計を考えること、将来的にはソフトウエアを使用した補綴設計も可能になるということをお話しされていました。また、実験的指針として実際の臨床において、セメントの影響による色調の変化を計測し、データとして記録することもご提案されておりました。

1日を通して、治療咬合の必要条件や咬合の与え方などについてより深く、さまざまな知見から学ぶ機会をいただき、ありがとうございました。

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